2010年9月2日木曜日

「キャラメルマキアート」と「音楽の捧げもの」

日の昼食は「ウィンナードッグ」「ポテ栗」です。「ポテ栗」はスウィートポテトの中に栗が入っています。


ふと戴きたくなり、スターバックスで「キャラメルマキアート」を買って参りました。それから果物が切れたので梨(幸水)も買いました。

 本日はバッハの「音楽の捧げもの」の話を致します。ダグラス・ホフスタッター「ゲーデル・エッシャー・バッハ」などを参考に致しております。

  「音楽の捧げもの」(Musikalisches Opfer BWV.1079)はプロイセン王フリードリヒに捧げられたバッハ晩年の作品です。

(フリードリヒ大王)

フリードリヒは音楽を愛し、熱心なフルート奏者でもありました。彼は新しく開発された「ピアノフォルテ」のよさをいち早く認め、当時完全なピアノフォルテを作ろうとしていたドイツのオルガン製作者ゴドフリート・ジルバーマンを支援し、彼の制作したピアノフォルテを15台所有していたと言われます。
 フリードリヒはピアノを崇拝するばかりでなく、当時有名になっていた作曲家兼オルガン奏者バッハも崇拝していました。彼は、バッハに会い、取り分け、ジルバーマン製作のピアノフォルテを試して貰いたいと思っていました。それが音楽の新しい波となることを正確に予見していたのです。
 フリードリヒの宮廷では室内楽の夕べを催すのがならいになっていました。この模様を描いたアドルフ・フォン・メンツェルの絵は有名です。

そして、宮廷聖歌隊指揮者をしていたのはバッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハでした。王は彼のもとをバッハが訪ねてこないかと期待していましたが、1747年のある晩その希望がついに叶います。フリードリヒは、バッハが息子を訪れているのを知ると、すぐに宮廷に呼び出し、バッハに所有する全てのピアノフォルテを弾かせました。バッハは王にフーガの主題を与えて欲しいと依頼し、与えられた主題を即座に曲にして演奏して、周囲の人たちを驚かせました。これが「王の主題」です。

 ライプツィヒに帰るとバッハは王から与えられた主題を3声と4声と6声とに作曲し、厳格なカノンによる手の込んだ数楽節を加えて「音楽の捧げもの」と言う題で銅版に彫らせ王に献呈しました。
 「音楽の捧げもの」におさめられたリチュルカーレ(フーガの古い呼び方)やカノンには様々な技法が凝らされています。一つだけ、「無限カノン」を例にとってみます。
 この曲は3声で最上部は「王の主題」、2声は第2の主題に基づく和音を形成します。低い方はハ短調でこれが全体の主調となります。高い方は同じ主題でそれより5度上になります。ところが、曲の終わりは、途中で転調されニ短調になっています。これを6回繰り返すと、元のハ短調に戻ります。こうしてこの曲は無限に続くことになります。無限に上昇するカノンなのです。余白には「転調が高まるとともに、王の栄光も高まり行かんことを」と記されています。また、「音楽の捧げもの」で用いられた技法はバッハ最後の曲「フーガの技法」にも受け継がれています。楽譜を見ているだけでも楽しくなります。

 本日のお昼の音楽はもちろん「音楽の捧げもの」です。

本日は「6声のリチュルカーレ」をオルガン演奏で貼っておきます。


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