2009年8月25日火曜日

読書会:ジェイン・オースティンの「自負と偏見」と「1984」


本日は月に1回の読書会がありました。今回はジェイン・オースティンの Pride and Prejudice でした。ある方が、文藝春秋に掲載されているの藤原正彦の読書会で、当時の中流階級の礼節に憧れる、などと書いてあったとおっしゃいましたが、H に言わせれば全く不見識としか言いようがありません。(この藤原某は「国家の品格」の著者ですが、このタイトルからしてまことに品がありません。)オースティンの小説は大体が結婚のお話しで、最後はハッピーエンドに終わります。しかし、作品の中にも書かれているように、当時の中流階級の女性は、財産の相続権もなければ、高等教育を受けることも、仕事に就くことも出来ませんでした。それ故、当時の女性にとって、結婚は自分の人生を左右する一大事で、人生は全てそこにかかっていたのです。当時の女性には貞節や慎みが求められていましたが、そんなものに憧れられては堪りません。そのような道徳は男権的社会に都合のいいように女性に押しつけられた道徳だったのです。当時の英国の社会は男性中心の階級社会でした。それは、少なくとも、女性や弱者には決して生きやすい社会ではありませんでした。オースティンの小説には、そのように女性を抑圧する社会に対する痛烈な批判が込められています。
 よく、過去のある時代の一側面だけを捉えて、あの時代はよかったなどと言う人がいます。しかし、その時代の全体的な社会の仕組みや、その仕組みの中で抑圧されていた人たちのことを考慮することなく、過去を礼賛する人たちの見識を H は疑わざるを得ません。
 この小説は映画にもなっています。上は映画版、下は BBC が作成したテレビドラマ版です。映画版は短いのでかなり端折っていますが、まずまずの出来です。BBC 版の方が原作には忠実で H はこちらをお薦めします。また、この作品と似たテーマを持つ Sense and Sensibility も映画化され「いつか晴れた日に」と言うタイトルで DVD が出ています。
 来月取り上げるのは、ジョージ・オーウェルの「1984」です。ご存じの通り村上春樹の「1Q84」の下敷きになった、近未来の管理社会を描いた小説です。
 最近このブログもアクセスが増えています。(と言っても、1日十数件ですが。)それで、少しは面白いことを書かなければと少々緊張しています。でも、H は余り面白いことは書けそうにもありません。ご免なさいね。

0 件のコメント: