2010年6月1日火曜日

読書会とパガニーニ「ヴァイオリン協奏曲」

日は午前中に読書会。昼食を取る間もなく、午後は外部の審議会に出席。戻ってすぐに学内の会議がありました。暫くしたらまた会議です。忙しい!それに、色んなことが重なり、体力、気力とも蝕まれているような感じが致します。疲れました。
 本日の読書会は川上未映子「乳と卵」を読みました。なかなか面白い小説です。

この小説は基本的には一人称の語りで、大阪弁の口語体で書かれています。一文が長い独特の語り口になっています。また、その中に「夏ちゃん」の姪の「緑子」がノートに記した日記の断片のようなものが挿入されてます。
 物語は、語り手である「夏ちゃん」が、大阪から彼女の住む東京にやって来る、姉の巻子とその小学生の娘緑子を東京駅に迎えに行くところから始まります。巻子が東京にやって来たのは、子供を産み前よりも更に小さくなった胸の豊胸手術を受けるためです。こちらがタイトルの「乳」な対応します。巻子は離婚し、場末のスナックで働きながら緑子を育てています。緑子は巻子と話そうとせず、コミュニケーションは筆談で行っています。緑子は苦しい生活を余儀なくされ、そして胸が小さくなったことを気にするくらいなら、何故自分を産んだのかと疑念を抱き、また、自分が生理を迎え大人になることを厭がっています。彼女は日記に卵子のことを書きます。こちらが「卵」に対応します。
 人間が関わるものには常に象徴的な意味が付きまといます。胸と言うのは生物学的には授乳器官に過ぎません。胸を大きくすると言うのは、実用的・機能的な意味はなく、あるとすれば、人間が付与した象徴的な意味でしかありません。巻子が豊胸手術に固執するのは、それが象徴している何物かを求めているからに他なりません。
 しかし、女性が胸の大きさを気にするのは何故なのでしょうね?
 本日の音楽は一昨日の名残でヒラリー・ハーンパガニーニ「ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調」に致しました。

第1楽章をハーンの演奏で貼っておきます。


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