2009年1月23日金曜日

H氏の好きな映画

H氏は映画も好きです。これからも折に触れ鑑賞した映画の話をするつもりですが、本日はそれに先立ちH氏の好きな映画のお話を致します。
 まず、監督で言うと、アンドレイ・タルコフスキー。旧ソ連に生まれましたが亡命。最後は1989年にパリで亡くなりました。追悼式で、友人の同じく反体制派音楽家ロストロポーヴィッチが涙を流しながらバッハのチェロソナタを演奏しました。左の写真にあるスタニスワフ・レム原作の「惑星ソラリス」。この映画は人の記憶や心理を形象化する海を持つ惑星ソラリスを描き、「サクリファイス」は核戦争の勃発を描いています。その他「鏡」「ストーカー」「ノスタルジア」など、どれもいい映画です。 でも、タルコフスキーの映画はどれも音が極めて少なく眠気を誘いますのでご注意。
 1999年に亡くなったスタンリー・キューブリックもH氏の好きな監督でした。左の写真にある「2001年宇宙の旅」は有名ですね。人類がまだ類人猿だった頃、突然現れたモノリスと言う石板によって人類は進化を促がされて道具を使うようになりますが、その道具として初めて使った動物の骨を投げあげると、それが細長い宇宙船に変わります。これは、人類の道具文明の進歩を一つのカットで一瞬にして表現する映画ならではの手法です。H氏は初めてこれを見たときすごいなーと大変感心致しました。核戦争を描いた「博士の異常な愛情」、「ロリータ」、ベトナム戦争を描いた「フルメタル・ジャケット」、「時計仕掛けのオレンジ」、スティーブン・キング原作の恐怖映画「シャイニング」(ジャック・ニコルソンが役にぴったりでした)、最後の作品となった「アイズ・ワイド・シャット」(トム・クルーズとニコール・キッドマンが出ていますが、キッドマンはH氏の好きな女優の一人です)。でももう新作は見られないのですね。
 ちょっと古いところでは、ルキノ・ヴィスコンティも好きな監督でした。「ヴェニスに死す」、「地獄に堕ちた勇者ども」、左の写真の「イノセント」等々殆ど見ています。それからイタリアの監督では、フェディリコ・フェリーニ、ピエール・パオロ・パゾリーニ、ちょっと新しいところではペドロ・アルモドバルなども好きです。 その他、「ヨーロッパ」、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」、「奇跡の海」のラース・フォン・トリアー、「旅芸人の記録」、「エレニの旅」、「ユリシーズの瞳」のテオ・アンゲロブロスなどもいいですね。
 しかし、これまで見た映画の中で一つだけ選べと言われたら、H氏は恐らく、エルマンノ・オルミ監督の「木靴の樹」と答えるでしょう。この作品は20世紀初頭のイタリアの貧しい小作農の生活をひたすら淡々と描いた作品です。恐らく映画という表象形式でしか伝わらないものを描いていると言う点で、極めて優れた作品だと思います。それからバックグラウンドには絶えずバッハの音楽が流れています。これもH氏がこの映画を好きな理由の一つなのかも知れません。それでは今日はこの辺で。

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