2013年6月25日火曜日

「読書会」と「ケーキ」そしてバッハ「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番」

日の昼食は、時間がなかったため、先日買っておいた非常食の残りで済ませました。いけません・・・。

 午前中は「読書会」でした。今回読んだのはアメリカの30年代作家ナサニエル・ウェストMiss Lonely Hearts です。


翻訳は、丸谷才一が若い頃に訳したもので、最近復刊されました。タイトルが「孤独な娘」となっているのには少々違和感を感じます。原題の Miss Lonely Hearts とは大分趣が変わって仕舞います。
 主人公の Miss Lonely Hearts とは、新聞の身の上相談欄の担当者のペンネームですが、実際は男性です。当時この手の身の上相談の回答は基本的にキリスト教の教えに則ったものでした。ですから、主人公はキリストを商売にしていると言っています。しかし、彼は、様々な相談の手紙を読むうちに、投稿者の身の上に同情を覚え、おざなりの教訓じみた回答では飽き足らなくなって悩み始めます。
 この小説には、下層階級の様々な人たちの苦悩が描かれ、それら多様な「声」をキリスト教と言う単一の言説で纏めて仕舞うことが出来ないと言うことを示しているようです。そう言って纏めて仕舞うと詰まらなくなって仕舞いますが、様々な工夫が凝らされ優れた小説だと思います。訳者は気付いていないようですが、小説の構成は、通常のチャプターではなく、新聞のヘッドラインと本文を模したものになっています。プロットで構成すると言うよりも、断片の集積であり、そのこと自体がこの小説のテーマと密接に関わっています。また、翻訳では分かり難いのですが、投稿された手紙の文体にもそれぞれ特徴があり、余り教養もなく、論理的な思考が出来ない人たちが、それでも何とか自分の置かれた状況を文書で説明しようとしている様が見事に表現されています。私は学部の学生時代に読んだことがあり、結構印象に残った作品です。


出来れば原書で読むことをお薦めします。
 例に寄って「ケーキ」を戴きました。


本日は苺のタルトを戴きました。

 本日の音楽はバッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番」です。


本日は庄司沙矢香の演奏でアダージョを貼っておきます。う~ん、いま一歩か知らん?
 

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