2012年12月18日火曜日

「かき揚げ蕎麦」と「読書会」と「電気料金」そしてブラームス「ヴァイオリン協奏曲」

日の昼食は「かき揚げ蕎麦」です。


お林檎は頂き物です。

 本日は午前中に今年最後の読書会がありました。今回読んだのはカズオ・イシグロ「遠い山なみの光」(ハヤカワ文庫)です。


カズオ・イシグロの処女作ですが、優れた作品です。夫を捨て英国人と結婚して英国で暮らす女性の回想です。主人公悦子は長崎の原爆で家族や恋人を失い、引き取ってもらった「緒方さん」の長男と結婚し妊娠します。その時妊娠していた娘はやがて景子と名付けられますが、この回想をしている時点では自殺しています。悦子にとって最も大きな問題は、原爆で家族を失った過去、娘景子の自殺である筈ですが、回想されるのは主に当時知り合った佐知子とその娘万里子のことです。佐知子も戦争で家族を失い、親戚を頼って長崎に来ますが、アメリカ人の男性と知り合って、アメリカに渡る決意をしています。一方娘の万里子は戦争中に体験したことがトラウマになり学校にも行けません。そして、母親が付いて行こうとしているフランクを嫌っています。悦子と佐知子には共通した部分があります。悦子は本来最も重要な記憶である筈の原爆や景子を巡る過去を回想することを回避し、その代替物として佐知子・万里子母娘のことを回想しているのです。一見リアリスティックに見えるこの小説はこのような構造を持っています。そして、語られないこと、語り得ぬことにこそ主人公の悲惨な境遇が淡く霞んで見えて来ます。原題が 'A Pale View of HIlls' となっているのもそのことを暗示しています。とてもいい小説なので機会があったら読んで見て下さい。
 例によってケーキを戴きました。


この時期ですので可愛らしいクリスマス仕様になっています。

 未だに、石原などは原発を稼働させないと電力料金が大幅に高くなると平気な顔で言っていますけれど、もちろん大嘘です。私はこれまでも述べてきましたが、政府のエネルギー環境会議で調査された結果もあるのですから、騙されてはいけません。書くのが面倒なので、要領よく纏められた神保哲生さんのヴィデオニュースを貼っておきます。



本日の音楽はブラームス「ヴァイオリン協奏曲」です。


本日は庄司沙矢香の演奏を貼っておきます。これから、今年最後のヴァイオリンのレッスンに言って参ります。しっかり弾いてきます。

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