2011年5月14日土曜日

「出講」と「1号機メルトダウン」そしてベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」

日はサーバーのメインテナンス中とか言うお話しで、更新が出来ませんでした。昨日は出講日でした。例によって疲れて帰り、アイスクリームを戴いて少しお休みしてから、仕事を致しました。

 一昨日、福島第一原発1号機の圧力容器に関して、これまでは水位は燃料棒の上部からマイナス1.7メートルと発表されていましたが、実際には炉心が完全に露出している状態であったことが分かりました。東電は1号機の燃料棒の損傷は当初70%と発表し、後に55%と変更致しました。今回発表されたデータが正しいとすれば、炉心は完全に溶融しメルトダウンしていたことになります。圧力容器底部に水が残っていたら恐らく水蒸気爆発を起こしていたことと推測出来ます。幸いそのような事態は避けられた訳ですが、殆ど偶然としか言えません。
 圧力容器上部の温度は100度程度であると言うことです。そうだとすれば、溶融した炉心は既に圧力容器の中にはなく、圧力容器の底部を溶かし、格納容器底部に落ちていると考えるのが合理的だと思います。格納容器には水がある程度溜まっているようですから、何とか格納容器を溶かして外部に出る迄には至っていないようです。しかし予測されていたよりも状況はずっと深刻であることに変わりありません。工程表通りに安定冷却する道は閉ざされました。また、溶融した燃料を冷やす水は超高濃度の汚染水になりますし、仮に安定冷却が可能になったとしても、その後何十年にもわたってそのままの状態で冷やし続けなければならず、その後の処理技術も確立されていません。
 今回の1号機の状況もそうですけれど、恐らく現在発表されているデータは全て過小評価されたものと疑わざるを得ません。現在私が最も心配しているのは3号機です。温度が高い状態がずっと続いています。恐らくは、こちらも東電の発表より炉心溶融が大きく進んでいるのではないかと予想されます。
 高速増殖炉「もんじゅ」がナトリウム漏れによる爆発事故の後、ほとぼりもさめた昨年、運転を再開したにもかかわらず、検知機の誤動作などのトラブルの末、炉内中継装置と言う3.5トンの筒型の装置が原子炉内に落下する事故が起こったことは先日お話し致しました。現在は、その装置を引き上げることも出来ない状態が続いています。運転再開も出来ず、廃炉にも出来ない降着状態が続いているのです。実は「もんじゅ」も活断層の上にあることが分かっています。もし、今地震が起こったら落ちた装置も揺れて炉心を破壊する危険性があります。しかし、これだけの事故が起こり、危険な状況が続いているのに一切報道がなされていません。一体どういうことなのでしょうか?
 また、ニュースでは、国会において自民党は、管首相が浜岡原発を停止するよう勧告したことに対して独断であると追求を強めているとのことです。きちんとした安全管理もすることなく、原子力行政を推進してきた責任をどう考えているのでしょうか?本当に情けなくなります。
 先日は、神奈川の茶葉から規制値の500ベクレルを越える放射性セシウムが検出されたと言う報道がありました。汚染は益々拡がっています。また、汚染された校庭の土を掘り返し、表層の汚染された土を下にする処置がとられているとのことですが、どう見てもまともな方策とは思えません。一時的には放射線の濃度は低くなるかも知れませんが、例えば、雨が降れば放射性物質が地下に染みこみ地下水を汚染する可能性が高くなります。表土を移動し、きちんとした管理をしなければ全く解決策にはなりません。事故の終熄まで長期化が予想される中、付け焼き刃の対策ではなく着実・確実な対策が求められます。

 音楽を聴いて心を癒すことに致しました。聴いたのははベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」です。

ムター姉さんの演奏で、第3楽章を貼っておきます。


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