2009年2月25日水曜日

森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」


昨日は定例の読書会でした。今回読んだのは多少軟弱な森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」です。H氏は京都の街をこよなく好んでいるので、森見の小説も時々読んだりします。
 この小説には自分を天狗と称する人物が出てきたり、(「有頂天家族には天狗がもろに出てきますね。)李白と称する訳の分からない人物が出てきて、屋上に池付きの庭のある三階建て電車で街を走ったりと、現実にはあり得ない奇想天外なことが描かれます。
 しかし、平安時代には京の都も魑魅魍魎が闊歩し、安倍晴明などと言う陰陽師が活躍していたのであります。(京一条戻橋に晴明神社なるものもあります。)
 この小説は、中に出てくる古本屋のようなもので、普段は現代の日常的な時間の中で書棚に押し込められていますが、一度書棚から引き出して開けば、千年も前の現実が展開することになります。
 この小説は謂わば無時間的な小説だと言えるでしょう。そういえば、主人公を慕う青年も何だか一昔前の学生のようだし、主人公の女子学生も、その言葉遣いと言い大正時代の女学生然としています。この小説の設定は現在ですが、色んな時代のものが詰め込まれています。それはちょうど京都の街のようです。清明神社ではありませんが、ちょっと筋をそれるととんでもなく昔のものが出現したりします。そう言う意味でこの小説は極めて京都的な小説なのだと思います。皆さんは如何読まれるでしょう?
 次回の読書会は夏目漱石の「坑夫」を読む予定です。この読書会に参加している方の娘さんも来られるそうです。この春卒業予定の国文科の学生さんです。鋭い質問をされたらどうしましょ。

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