2010年8月14日土曜日

「おはぎ」と井上ひさし「一週間」とブラームス「ピアノ協奏曲第2番」

日の昼食はサンドウィッチ「ゴボウサラダ&トマト」「おはぎ」です。

お盆なので臨時の売り場が出来ていて「おはぎ」を売っておりました。ついフラフラと買って仕舞いました。一番少ないのが2個入りでしたのでそれを買って参りましたが、二つ戴いたらお腹がパンパンになって仕舞いました。それから、果物が切れていたのでピオーネも買って参りました。それからハーゲンダッツ。今週は少々戴きすぎです。反省致します。

 井上ひさし「一週間」を読み終わりました。本当は日曜日に読むつもりだったのですが、ちょっと読み始めたら面白くて止められなくない、最後まで読んでしまいました。

舞台は戦後間もないシベリアの捕虜収容所。一人の日本人捕虜の波乱に満ちた一週間が描かれます。井上ひさしらしく徹底的な取材がなされているようで、細部にわたりリアリティーを感じさせる小説です。
 また近年の日本史研究の成果も踏まえた作品になっています。具体的に言えば、関東軍はソ連の参戦をかなり前から察知し、将校およびその家族などを移送する準備を整えていたことが明らかになっています。もちろん、民間人や下級兵士を見捨てられることになります。また、戦後、日本政府とソ連政府の間に捕虜を巡る密約が取り交わされます。つまり、食糧難にあえぎ、就職先もない日本約50万人もの捕虜が一挙に帰ってくると混乱が起きると考えた日本政府と、戦後復興のため労働力を必要としたソ連政府の利害が一致し、捕虜をそのままソ連に抑留し労働力として行使することを認めるという密約がなされました。
 また、抑留中の死亡者の大半は下級兵士であり、日本軍の秩序が温存された収容所での死亡率が高かったと言う事実も示されます。そのような収容所では、下級兵士から将校が食料をピンハネし自分たちだけ十分な食料を摂り、極寒の地で重労働を強いられた下級兵士に十分な食料が与えられなかったことが原因だと考えられます。更に、ドイツやイタリアの捕虜は家族との手紙のやり取りを行っていましたが、日本人捕虜にはそれが出来ませんでした。それは、ドイツやイタリアの将校は所謂「ハーグ陸戦条約」(捕虜の待遇に対する国際条約)を知っており、それをもとにソ連に対し、待遇の改善を要求しましたが、日本人将校は全く無知であり、捕虜の処遇に対する改善要求を全く行わなかったからです。
 しかし、このように悲惨な状況を描きながらも、喜劇的な要素やユーモアが溢れ、とても面白く読むことが出来ます。また、主人公を初め、このような状況を作り出した日本政府、ソ連政府、関東軍司令部、捕虜収容所の将校たちに怒り、何とか抵抗し状況を改善しようとする人たちが登場します。彼らは、悲惨な状況に置かれながらも、人間らしく生きようとしています。読者はそこに、そのような人間の理性・善良さに何か救い、希望のようなものを感じます。井上ひさしの小説の優れた点だと思います。決して読みにくい小説ではなく、ハラハラ・ドキドキ、読み始めたら止められなくなるような面白い小説でもありますので、是非お読みになって下さい。

 本日のお昼の音楽はブラームス「ピアノ協奏曲第2番」です。この曲はバックハウスベーム/ウィーンフィルの演奏が一番です。

本日はピアノ=バレンボイムでチェロのソロが美しい第3楽章を貼って起きます。




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