構成は、Hの好きな 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」以来の二つの物語が章ごとに交互に展開する形になっています。「ノルウェーの森」や「海辺のカフカ」でも使われた構成です。例によってしゃれた比喩を用い、謎を課しながら読者をドライブして行きます。
新聞によれば、この小説の一つのモチーフに使われているヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が売れていると言うことです。この曲、作中でも述べられる通り、広く知られた曲でもありませんし、また一般受けするような曲とも思えません。それにも関わらず売れてしまうと言うのは少々恐ろしいことです。しかし、殆ど知られていないと書かれている曲を知っていたりすると、(例えば、Hのように)ちょっと読者は心を擽られてしまいます。それに、「ふかえり」が好きな音楽は何かと聞かれ、「BWV846~869」「BWV244」と答える所など、それが、「平均律クラヴィーア1巻・2巻」と「マタイ受難曲」と分かってしまうHなどは、相当にこちょこちょと擽られてしまう訳です。クラシックのみならず、村上春樹は古いジャズやアメリカのポピュラーソングなどを作品の中に鏤めますが、その辺は中々上手いところだと思います。「ノルウェーの森」でも、ビートルズの他、ブラームスの交響曲4番やピアノ協奏曲2番などが出てきますが、知っている読者は頭の中で、それらの音楽が、まるで、映画のサウンドトラックのように鳴り響きます。
さて本日はこの辺にしておきましょう。2巻を読み終わったらまた書くことに致します。本日、午後は3コマ続けて授業です。疲れます。やれやれ。
0 件のコメント:
コメントを投稿