2011年6月9日木曜日

「さつまいもとりんごのシナモンブレッド」と「K氏の教育」そしてバッハ「ヴァイオリン協奏曲」

日の昼食は「さつまいもとりんごのシナモンブレッド」です。

暑いのでレイディー・ボーデン「クッキーサンド」「のむこんにゃくゼリー」も買って参りました。「桜桃」は鮮度を見つつチビチビ戴いております。(ケチ?)

 大学に入ってすぐの授業として「フレッシュマンセミナー」と言うのがあります。今は多くの大学で実施されている授業です。大学生に必要な、レポートの書き方、プレゼンテーションの仕方、文献検索の仕方など、大学生に必要な技能を身につけさせるための授業です。私は取り分けきちんと考える力を付けることに重点を置いています。例えば、先日お話しした「ラスト・サムライ」を観せて、様々な視点から問題を考えさせると言うのも、その一つです。その他、例えば、ある問題について書かれた本で、扇動的で非論理的な本を読ませディスカッションし、その後、実証的で論理的に書かれた本を読ませ再度ディスカッションをすると言ったことを行います。残念ながら、殆どの学生が扇動的な本に騙されます。そして、論理的な本を読んだ後自分が騙されていたことに気付きます。また、例えば、死刑制度をどう考えるかと言ったテーマを与えディスカッションした後に、その問題について自分で調べて来させ、私が集めた資料も配付した上で、今度はそれを元にもう一度ディスカッションします。
 一昨年、原発問題を取り上げたました。最初のディスカッションでは殆どの学生は政府や電力会社が宣伝している通りに、日本は資源がないので原発を推進するべきだと言った意見が殆どでした。学生にも調べさせ、私も出来るだけ客観的で実証的な資料を集めて学生に配布し、それをもとに再度ディスカッション致しました。すると、それでも原発に依存する他はないと考える学生もおりましたけれど、多くの学生は原発を推進するのはよくないと考えを変えました。
 私は自分自身の考えを押しつけるつもりでこのようなことをやった訳ではありません。むしろ自分の考えを述べるのを控え、学生に考えさせるようにしています。情報が信頼出来るものかどうかを見分け、正確な情報をもとに、しっかりと考えて判断を下す力を養いたいと思ってこのような授業を行っています。
 専門の文学の授業でも、世界を様々な角度から見て、しっかりと考える力を身に付けさせることを目標の一つにしています。私は、物事をしっかり考える力は、どんな職業に就こうとも一人の人間・市民としてとても大切なことだと考えています。しかし、現状では文学を教える学部・学科はどんどん減り、所謂、実学を教える学部・学科へと変わっています。私の大学でも、上層部は、例えば、実用英語をもっと教えろだとか、TOEIC の点数を上げるようにとか言った要求を突きつけて参ります。そして恐らく社会も、自分できちんと考えることの出来る人間よりも、何も考えず会社の利益を上げることの出来る人材、政府に楯突くことなく、いざとなったら国のために自分の命をも顧みず、異国の人間を殺せる人材を求めているのかも知れません。しかし、私はこんな時代だからこそ、自らしっかりと考えて判断を下し、それに基づいて行動出来る人間が必要なのだと思います。そして、そのようなことの出来る人を一人でも多く育てるのが私の勤めだと思っております。生意気なことを書いて仕舞いましたけれど、昨今の社会や教育の状況を見ていると、何かとても大切なものが忘れられているような気がしてならないのです。

 先ほどゼミを行いました。デザートにアイスクリームを戴いているところにゼミ生が入ってきたので、ゼミ生にも上げました。買って来たばかりなのに全部食べられてしまいました。グス。

 本日のお昼の音楽はバッハ「ヴァイオリン協奏曲」でした。本日はユリア・フッシャーのCDに致しました。

本日は「ドッペル・第1楽章Vivace」をヒラリー・ハーンの演奏で貼っておきます。今秋には樫本大進/ベルリン・バロック・ゾリステンの演奏で聴く予定です。


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