お正月は久しぶりにゆっくり出来ました。普段余り見ないテレビも大分見ました。4日の夜は、NHK教育テレビで吉本隆明の講演を見ました。それから、確か1日か31日に「知るを楽しむ」の再放送で、瀬戸内寂聴の語る源氏物語のシリーズをまとめて放送していたので深夜まで見てしまいました。
歴史を見ると、大方は男性中心の権力闘争と戦争について語られる訳ですが、私たちが平安時代に関して少し違った感じを受けるのは、恐らく、その時代に「源氏物語」をはじめとする女性を中心にした物語文学が盛んであったことと関係があるのではないかと思います。
「源氏物語」にも権力闘争は描かれますが、基本的には男女の恋愛という観点から歴史が描かれます。島田雅彦は無限カノン三部作(「彗星の住人」「美しい魂」「エトロフの恋」)で、「源氏物語」を下敷きにして(蝶々夫人、豊饒の海も下敷きになっているようです。)明治から現代にかけての歴史を恋愛という観点から書き換えています。歴史を権力闘争史と見るのは一つの視点に過ぎません。
吉本隆明は講演の中で、芸術を経済的な価値観から見れば全く無価値なものと位置づけ、それとは別の価値を持つものであると述べていましたが、その通りだと思います。現代の世界を見てみると、そろそろ、歴史・世界を単一の価値観・視点から見るのをやめて、別の視点から考えてみる必要があるように思われてなりません。
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