ここのところ暫くアルジェリアの石油プラントでの人質事件がニュースなどで報道されていました。然し,その取り上げ方に私は些かの違和感を感じます。もちろん,日本人が邦人の安否を気にかけるのは当然のことです。でも,どのニュースも根本的な問題に全く触れていないように感じます。
もちろんテロは如何なる理由があろうとも許されないことだと思いますが,テロ事件が今も頻発するにはそれなりの歴史的背景があります。テロが起こる地域を見れば一目瞭然ですが,何処も欧米の植民地だった地域です。テロが起こる根底には,植民地主義がもたらした様々な問題と経済的格差があります。そのことを理解し,解決しようとしなければ,これからもこのようなテロ事件が絶えることはないでしょう。
ここで詳細に述べることは出来ませんが,理解の助けになる本を少し紹介しておきます。もちろん,エドワード・サイード「オリエンタリズム」(平凡社ライブラリー)は最初にあげなければならない本です。現代人が読んでおくべき必読書です。それから,取り分けアルジェリアやアフリカの問題に関しては,フランツ・ファノンの著作が役に立ちます。ファノンはアルジェリア出身の思想家・精神科医・革命家であり,所謂,ポストコロニアル理論の先駆者です。代表的な著作は『地に呪われたる者』です。
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