昨夜は久しぶりに鰻を戴きました。鰻と言うとギュンターグラスの「ブリキの太鼓」を思い出します。この作品は原題ドイツ文学の代表作の一つです。私が持っているのは単行本ですが、集英社文庫からも3巻本で出ております。
その中で、鰻を捕る場面があるのですが、馬の頭にロープを付け海に投げ込み、暫くしてから引き上げますと、その頭の中に数多くの鰻が蠢いております。映画でもその場面が映し出されますが、ちょっと衝撃的です。私は鰻を戴く度にこの場面を思い出して仕舞います。困ったものです。
本日は午前中に読書会がありました。読んだのは先日もご紹介したデイヴィッド・ロッジ「ベイツ教授の受難」です。難聴になり大学を退職した言語学者の生活を日記風に綴っています。作品中にも書かれていますが、例えば、「オイディプス王」のように、盲目は悲劇になり得ても、難聴になった人の滑稽な聞き間違いや、何度も聞き返す様は、たとえ本人には極めて苦痛なことであっても、決して悲劇にはなり得ず喜劇にならざるを得ません。英文学には喜劇の伝統があり、この作品も良質な喜劇の一つです。
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