本日は午前中に「読書会」がありました。本日読んだのは大江健三郎「晩年様式集・In Late Style」です。
「3.11」を経験した大江さんが他者の批判を取り込みながら、これまでの作家生活を検証しています。反原発集会では中野重治の「春さきの風」から引用し、「私らは侮辱の中に生きています。」と仰られたのが印象に残っています。晩年にみずからの存在意義をも揺るがすような原発事故を経験し、恐らくは絶望の淵にありながら、最後は「私は生き直すことができない。しかし、私らは生き直すことができる。」と、自分より若い世代に希望を託して小説は終わります。
本当に、私たちは「侮辱の中に生きています。」一瞬にして、生活を根こそぎ奪われ、二度と故郷に戻ることの出来ない人たちの痛みを想像することさへ出来ない人たちが、フクシマを置き去りにして、原発を再稼働し、輸出さへしようとしています。私はそのことを思う時、フクシマの人たちの痛みに胸を突き刺され、フクシマの人たちと共に、その侮辱に怒りで身体が震えます。
都知事選には田母神などと言う常軌を逸した人物が立候補し、あの戦争は侵略戦争ではなかったとか、福島第一原子力発電所の汚染水は、欧米でならコーヒーを淹れて飲むなどと愚かなことを言い、NHKの新会長はインタヴューで実に品のない会見をなさいます。私自身も絶望の淵に沈みそうですが、未だ晩年にはほど遠い私は、大江さんの言う「私ら」の一人として、諦めることなく抵抗し続けなければなりません。
例によって、ケーキを戴きました。
和菓子も戴きました。
本日の音楽はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」です。
本日はアラベラ・美歩・シュタインバッハーの演奏を貼っておきます。
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